Loading

高血圧は誰でもなりえる病気です。しかし、その原因についてはあまりご存知でない方も多いのではないでしょうか。高血圧は生活習慣が大きく関わってきます。高血圧の原因をあらかじめ知っておけば高血圧になることを予防できますし、もし高血圧になってしまった場合の治療薬なども見ていきましょう。

高血圧の原因は何かを考える時に知っておきたいのが、血圧とは何かです。
血圧は、心拍出量×末梢血管抵抗で決まります。

心拍出量は、循環する血液の量や心拍数が増えれば増えるほど大きくなります。
末梢血管抵抗は、血液の流れやすさのことで、血管の弾力性や血液の粘度が関わってきます。
このことを知っていると、どのような時に血圧が上がりやすいのかを、理解しやすいです。

血圧は一日の中でも変動します。
また、少しの動きや感情の変化でも変動して、一刻たりとも同じ数値ではなく、刻一刻と変化しています。
運動後に血圧が上がるのは、循環血液量が増えるからです。

高血圧と塩分の関連性について

私たちの体は、常に水分や塩分が一定の濃度になるように調節されています。
血液中に含まれる塩分も、常に約0.9%の濃度に保たれています。
生理的食塩水というものがありますが、これは塩分を血液と同じように0.9%に調節した食塩水です。

このように塩分濃度を調節しているのが、腎臓です。
塩分が多い食事をすると、腎臓は余分な塩分をろ過して尿と一緒に排泄して塩分濃度を調節しています。
塩分の多い物をたくさん食べると喉が渇いて水をたくさん飲みたくなりますが、これは血液中の塩分濃度を0.9%に保つためです。
少しでも血液中の水分を増やして塩分濃度を保ったり、少しでも早く塩分を尿と一緒に排泄しようとしているのです。
血液中の水分量が増えると、循環血液量も増えます。その結果、一番最初に述べた式のように、血圧が上がります。

塩分の多い食生活を長年続けていると、腎臓が処理しきれなくなって血圧が上がってしまいます。
そして血圧が上がることで腎臓や血管を傷つけ、それがさらに血圧を上げる一因になるという悪循環に陥ってしまいます。
塩分の多い食生活は、高血圧の原因となり得ます。
1日の塩分摂取量を1g減らすと、上の血圧(収縮期血圧)が1~2mmHgほど下がるという事が判っています。
肥満の人は減塩の効果が出やすく、5mmHgほど下がる人もいます。

現在、日本一の長寿県は長野県です。長野県では漬物に極力塩を使わないようにしています。
醤油と酢を使ったり、だしを入れてうま味を上手に利用したりと工夫を凝らして減塩に取り組んでいます。
また、卵かけご飯を食べている所を見てみると、1滴ずつ出てくるタイプの醤油さしを使って、5~6滴で済ませていました。
ご飯の上には黄色い溶き卵がのっていました。

これに対して、日本で一番短命県となっている青森県は、何でもかんでも塩漬けでした。
「こんなものまで塩漬けにするの」と思うようなものまで塩漬けです。
そして卵かけご飯の溶き卵の色は、卵の色ではなく、醤油で黒に近い茶色になっていました。

厚生労働省は、1日の塩分摂取量を男性は8.0g未満、女性は7.0g未満に抑えるように推奨しています。
また、日本高血圧学会では、高血圧がある人は1日の塩分摂取量を男性も女性も6.0g以下にするようにと勧めています。
現在、日本人の平均塩分摂取量は男性は1日11.0g、女性は1日9.2gですが、日本高血圧学会ではこれを男女とも1日に6.0g以下に抑えることを推奨しています。

高血圧の原因は90%以上が不明な理由

高血圧には原因となる疾患が特にない本態性高血圧と、高血圧となる病気が背景にある二次性高血圧があります。
高血圧の90%は本態性高血圧で、特に血圧が上がる原因となる病気がないタイプです。
そのため、本態性高血圧は、生活習慣病だと考えられていて、生活習慣を改善することが重要です。

改善すべき生活習慣には塩分の摂りすぎ以外に、飲酒や喫煙、疲労、ストレスなどがあげられます。

飲酒は塩分の摂りすぎと同様に循環血液量を増やして、血圧を上げる原因となります。
体内にアルコールが入ると、早くアルコールを排泄しようと循環血液量を増やします。
また、水を700mL飲むのはしんどくてもビールならロング缶1本を一気に飲んでしまう人もいるでしょう。
アルコールそのものも多くの水分を摂る原因となり、循環血液量を増やしやすいです。

喫煙すると、ニコチンが交感神経を刺激して血管が収縮し、血圧が上がります。
1本のタバコで、血圧は上下とも20mmHgほど上がることが判っています。
他のことを一生懸命頑張っても、たった1本の喫煙で、全てが水の泡になると言っても過言ではありません。

疲労も血圧には大敵です。血圧は寝ている時は低くて活発に活動している時は上昇します。
健康な人であっても、プレゼンの時は上の血圧が180mmHg以上となることもあります。

労働時間が長くて睡眠時間が短いと、当然、血圧の高い状態が長くなります。
夜は午後11時くらいには布団に入りたいものです。少なくともその日のうちに眠りにつくのが理想的です。
昼食後は1時間ほどゆっくりと休憩することをお勧めしたいのですが、今の日本ではこれもなかなか難しいようです。

せめてサンドイッチやおにぎりを片手にパソコンを操作しながら食べるのではなく、デスク以外の場所でゆっくりと昼食を摂って、昼休みの間だけでも血圧を下げてもらいたいものです。
仕事をしながらお昼ご飯を食べたのでは、血圧が下がる暇がありません。

血圧が高くなる要因にはこれらがあげられますが、中には塩分の多いものが好きなのに高血圧ではない人や、何十年と過労が続いているのに高血圧ではなく元気な人もいます。
これはどうしてなのでしょうか。
おそらくこれは、高血圧は一つや2つだけの要因で発症するのではなく、もつれて解けなくなった糸のように、いくつもの要因が複雑に絡み合って起きるのではないかと考えられています。

ストレスから高血圧になることもある

ストレスも、高血圧の原因となる一因です。
人の体はストレスに遭うと、交感神経の働きが活発になります。すると、血管が収縮して血圧が上がります。

交感神経が活発に働くというのは、言うなれば、体は戦闘状態になっているのと同様の状態です。
交感神経が活発に働いている時は、脈拍も増加し、瞳孔は拡大しています。
交感神経からは、「血圧を上げるホルモンを出しなさい」という指令が、様々な臓器に送られます。
そして、副腎や腎臓や甲状腺から血圧を上げるホルモンが分泌されます。

副腎という小さな臓器からは、副腎皮質ホルモンというホルモンが分泌されます。
副腎皮質ホルモンはストレス対抗ホルモンとも言われていますが、このホルモンには血圧を上げる作用や血糖値を上げる作用があります。
通常はスプーン1杯程度の量が、毎日早朝に分泌されていますが、ストレスがある時は、これに上乗せしてその数倍から10倍ほどが分泌されます。
ストレス状態が長く続くと、ずっと副腎皮質ホルモンが沢山分泌されることになり、高血圧を引き起こすと考えられています。

夫婦関係が上手くいっておらず、ストレスが溜まっている主婦に、血圧計をつけてもらって血圧の変動を調査した実験報告もあります。
旦那さんが帰宅した途端に血圧が30~40mmHgほど上がり、旦那さんが出かけた途端に血圧が下がったという結果もあったそうです。
社会人の場合、上司に叱られている時は血圧が30mmHg~40mmHgも上がっていることもあります。
このように、ストレスはストレートに血圧に影響を及ぼします。

ストレスで血圧が上がるということは、今や常識的な知識になってきていますが、現代社会では、ストレスを回避することはなかなか難しくなっています。
ストレスを失くすことはできなくても、できるだけ早く解消するように、できるだけ溜めないようにすることが大切です。
嫌なことを忘れることができる時間や趣味を持つ、誰かに話しを聴いてもらうなどで、上手にストレスを解消しましょう。
ストレスは高血圧だけではなく、ありとあらゆる病気の原因にもなります。

高血圧が長く続くと血管が傷つき、脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクも高くなります。
高血圧を引き起こしやすい生活を送っている人は、生活習慣を改善して高血圧を予防することが、健やかな毎日を送ることにつながっていきます。
栄養、睡眠、休息、運動を今一度見直してみましょう。